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2005年12月22日

Ethiopia:君は海の誕生を見たか?

BBCNEWSWebsiteの該当記事

ちょっと古いニュースになりますが、今回は科学ネタでも。
エチオピアの砂漠で、科学者が”海の誕生”を目撃しているそうです。

未来の海洋底の誕生と考えられる現象が進行している様子を、エチオピア北東部で観測した、と科学者達が発表した。
Scientists say they have witnessed the possible birth of a future ocean basin growing in north-eastern Ethiopia.
科学者チームは、今年9月、Afar 砂漠の大地に幅8mもの亀裂が、僅か3週間で、発達した現象を観測した。
The team watched an 8m rift develop in the ground in just three weeks in the Afar desert region last September.

 Afar砂漠というのは、隣国エリトリアとの国境近くにある、エチオピア北東部のダナキル砂漠のことと思われます。
 この砂漠には、ダナキル低地と呼ばれる、標高が海抜以下の溝状低地が存在します。
 海水が侵入し乾燥するという過程が、ダナキル低地では過去に何度も繰り返されており、その結果、深さ1kmにも達する塩の層が形成されているそうです。
 この地に住むアファール人と呼ばれる遊牧民が、この塩を採掘し、収入を得ているそうです。
この現象は、この国の東部がアフリカ大陸と分離し、最終的には広大な海洋を形成するという、長期にわたる地球史イベントの小さな一歩だ。
It is one small step in a long-term split that is tearing the east of the country from the rest of Africa and should eventually create a huge sea.
イギリス-エチオピア合同チームは、60kmにも及ぶ亀裂系が形成されたスピードの速さに驚嘆した、と言う。
The UK-Ethiopian group says it was astonished at the speed with which the 60km-long fissure system developed.


 僅か3週間で、最大開口幅が8mにも達する亀裂が、長さ60kmにわたり大陸の凹地に形成されたこのイベント、確かに、「驚嘆するべきスピード」と言えるでしょう。
 しかし、地質学上のイベントというのは、案外、突発的に大きな変化が発生するものが多いのかもしれません。
 じわじわと力がたまり、ある日、突然ガツンとくる地震のように。
 もちろん、非常に小さな変化が長年積み重なる事により、変化していくこともあると思いますが。
 現在の地球は静かなで平穏なようですが、実は非常にダイナミックに変化している過程の最中に、あるのかもしれませんね。

「このような大規模なイベントを地溝帯で観測するのは、我々が現在使っている宇宙からの観測技術が出現して以来、今回が初めてでしょう。衛星技術は、高解像度の画像と詳細なデータを我々に提供してくれ、実際に何が起きており、どのように大地が動くのかを知る資料を与えてくれます。これは驚くべき事です(ここの訳、自信なし)」、Royal Holloway University of LondonのCindy Ebingerは言う。
"It's the first large event we've seen like this in a rift zone since the advent of some of the space-based techniques we're now using, and which give us a resolution and a detail to see what's really going on and how the earth processes work; it's amazing," said Cindy Ebinger, from Royal Holloway University of London.
Ebinger 教授と共同研究者は、エチオピアでの現象を、米国地球物理学連合(American Geophysical Union )の秋季大会で発表した。
Professor Ebinger and colleagues described the event here at the American Geophysical Union Fall Meeting.


 衛星を利用したリモートセンシングにより、この地溝帯のイベントを観察したようですね。 前の職場で航空写真判読技術を磨いたのですが、”リモセン”にはあまり縁のなかった私、”衛星”と聞くと、「凄いんだ」と思ってしまいます(一応、一通りの事は知ってますが…)。

遥か遠い昔、超大陸が引き裂かれて、大西洋などの海洋が形成された。
In the far-distant past, oceans such as the Atlantic have formed when supercontinents have torn apart.
今でも、北アメリカとヨーロッパは、爪が伸びるほどの速さで、反対方向に離れつつある。
Indeed, North America and Europe are still moving in opposite directions at about the pace fingernails grow.


 ”爪が伸びるほどの速さ”は比喩的な表現かも知れませんが、乱暴に計算してみたところ、海洋底の拡大速度に、意外と近いのかも知れません。
 爪が伸びる方が早いような気がしますが…。

エチオピア北東部にある苛酷な環境の低地、Afar 地域は、最近の地質時代に、同様な力で引き裂かれた、と科学者達は長い間、考えてきた。
Researchers have long recognised that the Afar region, an inhospitable depression in north-eastern Ethiopia, has been contorted by similar forces in recent geological time.
9月に発生した現象は、科学史上前例のないものだそうだ。
But the event in September is said to be unprecedented in scientific history.
9月14日に発生した大規模な地震がこの現象の始まりであり、群発地震の小さなゆれが続いた。
It began with a large earthquake on the 14th of the month and continued with a swarm of moderate tremors.


 1週間ほど余震が続いた後、火山(多分、エルタレ火山)が噴火し、大量の火山灰を吹き上げ、地面には多くのクラックが現れたそうです。幅の広いものは1m以上だったそうです。
 1ヵ月後、長さ60kmもの亀裂が走り、その幅は最大で8mに達したそうです。
 ただし、このような現象が海の誕生を実現するのは、数百万年後のお話だそうです。
 afar地方に住むアファール人は、エチオピア、エリトリア、ジブチの3カ国にまたがって住む遊牧民族だそうです。
 エリトリア独立時に失ったアファール人の土地を取り戻すため、「アファール革命民主統一戦線(通称:ウググモ」と呼ばれる反政府勢力が、かの地では勢力を持っているそうです。

 海の誕生を間近で観察する、絶好の機会を科学者達は手に入れたのですが、治安はあまり良くないみたいです。
 科学者の皆様、気をつけてくださいませ。
 なんでも、お金をたかるだけで、用心棒代金を支払っておけば、悪いことはしないみたいですよ。

 BBC放送の記事以外のうんちくは、ナショナルジオグラフィック日本版10月号(↓)を参考としました。




6 コメント:

i☆Letter主人 さんのコメント...

コメントと虎場ありがとうございます。早速、翻訳の件に関して、コメント欄に紹介しておきました。

ちゃめ さんのコメント...

i☆Letter主人さん、
コメント有難うございます。
私も、日本語→英語の翻訳機能を組み込んでいますが、Googleのはも一つです。
短い文にしてあげると、上手に訳してくれるのですが…。

迷い猫 さんのコメント...

TBとコメントありがとうございます。
自分のブログで「写真見てみたい」と書いていたのですが、こちらのBBCへのリンクで画像を見ることが叶いました。本当、ありがとうございます。

ちゃめ さんのコメント...

迷い猫さん、こんばんわ。
喜んでいただけて嬉しいです。
元記事の写真を貼ってもいいのですが、容量節約のため…。
でも、想像してみると地球が動いている、ロマン?みたいなものを感じますね。

MANTA さんのコメント...

TBありがとうございます。
しかし地面が8m開くなんてすごいですね。これだけ開くにはきっと地下からマグマか何かが上昇しているのでしょう。三宅島の噴火のときでも20cm程度の横方向の移動しかなかったので、もっとすごい噴火につながるのかも。BBCの記事を読むとすでに何千もの人が逃げ始めてるようですね。

ちなみにこの観測で衛星画像を使ったのかGPSを用いたのかは不明ですね。ScienceやNatureにも論文として掲載されていないようなので、これからはっきりするのかな?(新聞とかにかいちゃうと、論文として掲載されなくなることもあるらしい)

ちゃめ さんのコメント...

Mantaさん、こんばんわ&メリークリスマス。

プロフェッショナルらしいコメント、有難うございます。

>新聞とかにかいちゃうと、論文として掲載されなくなることもあるらしい

そうなんですか?
最先端の科学者はマスコミにも注意ですね。
でも、BBCは学会発表されたネタとか、論文掲載されたネタを中心に報じているみたいですね。

計測はリモセンかGPSかどちらでしょう。
GPSの方が精度は高いですが、センサーを設置しなければならないし、私は文脈からはリモセンだと判断しています(民生用で解像度1mなんてのもあるそうですね)

また、専門家のコメント、お待ちしています。


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